春の箱庭 



生きてもないのに朝は来る
器用貧乏が環になって
ほんの数百年の病
邪魔をしない程度の心
たかだか指先だけの記憶との対話
運命に傷を付けたのは
花冷えの褥
亡者のリビドー
幽暗と目が合えば
月を削って生まれてきた
不死の庭先
楽園の収束地点
傷痕一つ、身体は二つ
ほとんどの夜は冷たくて静か
ここは天国ではないが地獄でもない
屋根の下だと悲しくならない
想像の証明
願わくばを願わねば
記憶は遺書の代わりです
死んだ目から出る涙は苦い
花に埋もれて夢を見たい
口実ばかり見つかる季節
憧憬のひとひら
永遠はここにあるべきだから
春が来るのはあなたのせいです