あなたのいない
雨上がり

sound on ...

ぬるい木漏れ日
まる、さんかく、天国
点描と糸雨、あなたの眼差し

とうとう透明のひと、とうに透明のひと

しばし雨を帯びたいきもの
このエンゼルクリームを半月とする
白日をくるむ毛布の中
晦の繭
ぬるくあやふやな新世界
誰も息をしない午後三時
白昼をさまよう瞬きの群

たくさんのまる、針と糸
水鏡の中で揺れるふたり
繰りかえす天と地の波際
朝靄に透ける創世
野ざらしのパレード
あまい淡い発火
約束はやさしく碌でもない
ふつつかな黎明のとなり
八重歯に差し込んだ雨

名ばかりの幽霊になる

芥に滲む花のいろ
目を閉じたまま家に帰れない
藍に温くとける
額装につつまれた眠り
凛々しくいられない日々のために
dot dot dot
これは栞ではありません

ねむったまま連れてこられた次の日

きみ陽だまりを地獄と呼ぶのはやめなさい

雨曝楽団
走り去る、とおく、遠ざかる
いつかどこかの心音
海に浮く月、満ちた月、透けた月、
      あれはにんげん(あなたではない)
今日は眠らずに話していようよ

ふたりぶんの水たまり
終演まであと一滴
残された泥でつくるタイトル

ぼんやりしたエチュードが夏前の夜空に散らばる

if/不在記録
火も声もいびつな透明
雨上がりに触れた様な手つき

月の傍ら
夜のかわりに静かにできない
凍えたまま迎えた星霜
ぬるい雨のような体温
ちょうどいい傷ひとつ

夕立の匂いを連れて歩くひと
裸足のうらで触ってあげようか

なみなみと夢うつつ
二足歩行の逃避夜行
誰も彼もぼんやりとひかっている
ポルカドットのリズムで眠る
うつくしく濁った鏡の向こう
うまく傘を閉じられなくてごめんね