No.51
宛名がなくてはいけませんか?
ふやけたインクで物語り
蜷川
寄り道の多い喜劇
望月色
ダンス、闇の中はじけて消えた
イトセ
CLOSEDの札が見当たらない店
詠美
大丈夫、いつだって貴女の声は聞こえますよ
翁
無数に贈る語らずの美
一星
臆病者のあなたは真実ばかりを欲しがる
名前のないわたしで解かれにゆきます
差し出した掌がひとつの手紙でした
栗城
とどいてもひらかれないのなら
香雲
しろ色のそらなんて大嫌いです
掌
けれど君はなにごとにも気づかない
月白
pray in tears(涙にこめた小さな祈り)
たらこ
No.68
あなたのこと一生わからないままでいたい
好きの対語を見つけたら
望月色
残骸では愛せないのか
イトセ
きれいな君の殺し方
たらこ
わたしから結びにいった呪縛です
香雲
「
I
」より出でて哀より愛(かな)しい
一星
それがみずからを灼く火か
月白
何をしてもしなくても、あまり大差はありません
詠美
不完全の雛
やさしい永遠のひと欠片
椅子の上に不死一つ
蜷川
うろの唇、いやだと言えない
掌
憶えていたいことばかり溢れてしまうから
わからないまま寄り添って、ふたりきりで
栗城
ほどけたリボンじゃ枷にもならない
マオ
知らなくてもいい嘘
あなたの瞳が好き
ネオンに紛れてゆく
涙が朽ちる前の事
坂本
いまさら泣けやしないんだもの
水氷
なんにもできない神さまでいて
塔子
星が流れる角度のように
みさか
恋の行方不明
ゆずき
ここで綴じても、呱々が閉じても
せつや
満たされないからずっとそばに
晴
わたしの五官こそまこと
浅宮/瑠藤
ほどなくすれば満月
ざらめ
No.97
きみの内側をなぞるのも最後
あやふやな眠気に負けるまえに、確かに
望月色
声色を壊す朝
詠美
すべらかな指先のたわむれに
火をひとつそこに置いてきた
栗城
どうせならば苦しいだけの透明を
ざらめ
今世紀いちばんやさしい虐げ
浅宮/瑠藤
後鳥羽上皇のボトル・メッセージ
強欲だからまたはじめちゃうや
誤解しないで終わらせないで
ごめんねと脱がないヒール
後醍醐天皇はそうは言わないよ
水氷
プリンチペッサの退冠、レジーナの戴冠
せつや
血潮がじゃまで仕方ない
香雲
No.82
古めかしい色合いで現れるよ
ページの先でほほえんでいる
カンディンスキーのためいき
栗城
叶わぬ恋がこちらになります
詠美
それを王道って呼ぶんだよ
せつや
宵越しのきみはまてない
水氷
失恋者たちのあえかなため息
かさなりゆく追憶よ開花せよ
流転の果てに今立ち還るきみ
浅宮/瑠藤
この世でもっとも廃れたまなざし
与謝野晶子のような黒
おまえがくちずさむ海は血汐の彼方
ざらめ
また一行ずつ減っていく仕合わせ
輪郭だけでは明度もみえない
それではここで一曲どうぞ
香雲
No.42
そのひとを探しておいで
さすれば裸足のうしろに縫いつける
孤独といういきものに嫁ぐ
ざらめ
見渡すかぎり広がる銀河
思ふところに在りて露わ
栗城
あの夜あなたに魅せたもの
詠美
デミタスと蝋蜜
夢幻に来ぬ人を迎えに
悪魔抱えた形代を
水氷
出発に遅すぎるウエンズデー
雪の上にも永久の下にも
おもいでがうごめく写真
香雲
No.194
心ここにあるはず
そう見つめてみて
あなたならいいの
どこにもない身体
栗城
電気じかけのぼくの真ん中
踊って浮かれて宙がえり、
100
点満点
大事なものおっことしてきちゃった
一星
たぶんの罠
望月色
融けない氷をしたためますから
詠美
図解して御覧に入れるさ
水氷
ないしょの好き嫌い
ここに言葉を尽くす代わりに
蜷川
千年かかる君のパズル
手さぐったら天竺の形
掌
すぐにつめたくなる胸のうち
見つけてどうしたかったというの?
そしてさみしいシリアルキラー
NORZ
増殖する恋情
蔓延する愛情
つまりいつかのユビキタス・ガール
せつや
情熱の潜熱
目視できない宝石
はしごのてざわり
シンバル
だけど本当を暴かないでね
べろの下まで探しちゃうから
川の
探しにきてくださらないでね
みさか
世界はここに二つしかない
マオ
緑の眼玉がこちらを見るから
塔子
No.171
ヨアケ・イン・ザ・ミラー
夢の淵
みさか
誰
誰だ
だれか
だれでも
だれだって
だれもかれも
だれひとりとて
だれも皆夜を乞う
誰にも鏡を壊せない
NORZ
ラジオネームアサヤケ・オーバー・アンド・アウト
水氷
まぶたの牢
マオ
光の速さで朝を迎えに
望月色
もうただしくないひかり
塔子
運転できなくてごめんね
シンバル
シロクマとあくびごっこ
詠美
カレイ・ド・スコール
薔薇窓に夜を満たす
明星の導き
露光する朝焼け
一星
増やして配る/ハンマーが欲しい
窓がいっぱいで選べない
川の
ごたくはいいからランデヴー
手でつくるカエルかわいいね
掌
其のひかりは女神の恋慕
鏡面を境に宵へと向かう
せつや
帰りにはからっぽの汽車
蜷川
二つシルエットを滲ませた
かつて王国だったものたち
静かにすべるブルーアワー
栗城
夜を喰む
鏡ならくちづけて
ゆびさきにやわいひふはふれないまま
キルケゴール、わたしを攫って
ゆめにおきざり
晴
あゝきみとの一夜は郷愁の匂い
香雲
No.177
あなたは私で可哀想
鏡割人形
晴
後ろの正面見ないふり
水氷
それでも隣を占有することだけゆるして、ね
ぼくらは逆さの双児
反転世界じゃ幸福論
ドッペルの乖離過程/仮定論
わたしは貴方で可愛そう
一星
だいきらい、だいきらい
掌
眩んだ傷はひとつだけ
蜷川
母の同胞(はらから)
もう偽らなくてもいいんだよ
誤らせていてごめんね
せつや
接続詞のちの自愛
切実にならない何故かしら
抱擁の腕はひとつ
レンズにうそぶく
香雲
鍵の在り処は二人の住処
輪の綻びはちいさなしわ
いつもどこでもさみしい
そっぽを向いて雅なうそ
憂いの種が育つまでの塔
みさか
いたむ前に口づけて
しからば与えられん
天国よりはやい融解
栗城
きみの皮肉にコインを投げた
詠美
踵にいちばん近いくらやみ
塔子
ここからはなさないで
ハンカチを持ってないよ
川の
隕石は胸の砂漠で夢を見る
マオ
瞑想する指先
結晶への帰還
聖人の飼い犬
世界創造の二日目へ
シンバル
灰色の名前
利き手まではたしかに同じだった
星よ、肋骨が欲しい
わたしとおまえのシュレーディンガー
ざらめ
No.114
ささくれもめかし込むフライデーナイト
コットンパールをひらめかせ
塔子
あなたを惑わして捨てるの
のこり滓だ、って馬鹿なこ
ここから少しだけ戻したい
香雲
艶やかであるべき夜
ほどけたら琥珀にしまって
いろどりに満ちた影が落ち
苦い花ばかり喰む
さまよう芸術家にニケの一対を
シンバル
どこまでいけば心が褪せる
さよならを乱暴にむすんだ
揺蕩う足元を容易く掬って
ともしびの希望だけが甘い
掌
都会を生み直してあげるよ
水氷
灯りを残らず飲み込んで
ここではわたしは野生の海
あなたがとげまで噛んでくれる
「花を鍵だと思ったの?」
マオ
花かんむりさえ氷砂糖
欠けた夜に当てはめる色
ふたりには緩やかな下り坂
蜷川
いくつもの色彩がわたしを甘く通り過ぎ
かつて花としてひらかれにゆきました
いつの間にか黄金糖は嚙み砕かれて
栗城
涅槃寂静のティアラ
インスタグラムに映る火の悪魔
めっかちの夜明け
剥かれたささくれの行方を
ざらめ
瞬きはいつか朝に馴染む
誰かのための影じゃないから
可愛いなんてホント失礼
選ばれなかった赤のために
ラストにむかってあたしが変わる
何もないから邪魔にもならない
いつでもどこでもアン・ドゥ・トロワ
詠美
サキイカの色気のなさ
さよならのあともドレスが脱げない
口火を切らないまま
劣等感もここまで
燃え尽きてみたい
瞑想して仮死状態
解凍とは無縁のいきもの
仕掛けて忘れて何かが釣れる
今度こそを繰り越す
無味夢中
不死ならいつかがいつか来るはず
ラストで窮地
一夜で干上がる
デリートデリート
絶句の余韻
馴染む前がいちばんときめく
いつもより火が通る
永久の入口だった夜
望月色
No.126
ひげめがねしかない
それでも仮面のほうがうつくしい
悧子
美しいから許そう、美しいから愛そう
ほんとうは笑ってほしいだけだった
パーティの主賓と呼ばれたあなた
二水
オートクチュールだもんね
慰めも滑稽
だったら踊るしかない
かわいいっていえよ
ジーザス
紫江野
飛翼臨む造形は既に蜃気楼の彼方
つまりはルール違反に対する懺悔
目ざましい嘲弄に君は純心を折る
紳士淑女たちの躊躇いのない歯牙
懇ろの夕べ、終わり良しの舞踏会
掌
あきない顔をめざしたよ
ルナティックでしょう?
びしょびしょでも濡れる
おめめを大きくあいたら
November loved you
せつや
宇宙一かっこよく眼鏡を外せるのに
望月色
サンタさんはおかおが見えない
ママにキスしておやすみなさい
ぼくの笑った顔、すきでしょ?
紗帆
紳士淑女じゃ越えられ、Night!
詠美
夜を留めたちいさな灯し火
運命を隠すのに必要な運命
蜷川
いばら道でも紳士的
水氷
なんだって、どれだって仮面だろう?
優しくなりたいチャップリン
水汲み少年の精一杯
のろまな彼女の愛しい面
ただであげるよ、君がいいなら
寝る子は育つらしいから、ほら、もう時間だよ
翁
白い肌と赤い蝶ネクタイ
紺のスーツに七分丈
まだステッキのそれは早かったかしら
「おヒゲが似合うくらい、大きくなったらね」
坂本
蜜の色うつろいの罪
つまりあなたを待つ
栗城
素敵な仮面は結構ですよ だってこの人が似合うと言うから こちらが私の愛する奥さん
大好きな このくすぐったさ あなたも知ってね これからもしてね
川の
君を笑わせるたったひとつの武器!
「紳士のお茶目なお遊びだと思って付き合ってはくれないかい?」
「紳士は自分で紳士とは言いませんが?」
ギャップにときめいたとは言えません!
パーティーグッズだと侮ることなかれ
伊織
頓珍百鬼夜行
いないこ だれのこ 花いちもんめ
ぼくの創造すら奪ってしまって
つづきもぐうぐう
狂ったかわいい妄想たち
スーパースターはひとりの夜に
岡野
ぼくが呈す破調
こぼれおちてゆく8つのこと
浅宮/瑠藤
J
の犯すワルツ
私はあなたのための黒
礼賛の悪、劣等の美
歩
緋色のマスカレイド
げに恐ろしき探偵たち
めくるめくカーテンの隙間
概要だけで解決
猫かぶりの髭
シンバル
悲喜こもごももごもご
芸術家には気をつけろ、色にされるぞ
めくるめく靴の底
伽藍堂よりなんにもない部屋で
ねずみの国に嫁いだ猫
しあわせを折り紙になおすとオーロラになる
海軍将校ご用達の花屋
失くしたとばかり思っていた髭
いつまでも月
ん、の魔法
ざらめ
No.253
夜も朝も同じこと
息をするように愛おしむこと
冬の空に目が染みて
わたしから降る雨
それはあまりに痛くて熱い
だいじにだいじに壊してしまう
恋をしたのははじめてでした
紗帆
苛烈に燃やしてなお昏い
ピースは揃えど目隠しの外
孤独片手に囀る
となりで燃える情炎はほんとうはだれのものだったろう
完全犯罪計画書
いちどだけ殺させて
歩
カーテンと天体
弱い瞼と優しい左手
行き止まりに溜めた温度
眠たいのはいっしょ
引き延ばして引き分けまで持ち込む
色違いの空、横目に
望月色
会いたいは輪郭だけ
点と線で描いてあげる
約束を守れない生きもの
溶け合う準備はできていた
お砂糖にしかわからないこと
粉々になったミルクティー
蜷川
この世界の果てを知ってしまったら
きっと君は消えてしまうのだろう
世界の果てを探しに行ったとして
夢と希望なんてあるはずもないのだから
ほら、目をあけてごらん
ここが世界の果てだよ
伊織
欲のない恋なんて
累に縋り愛など捨てよ
もはや革命さえも忘れられ
在りし日を繰り返したかっただけ
さて、我々はどこから償えばよいか?
もうどこにもないからだいじょうぶ
二水
カーディガンがほつれた先で待つ
雨粒の化石
わたしの右手できらめく和毛
眠れぬ蝙蝠たち
ねぇもうほっぺたばかりがとろけてしまうよ
スカートの裾を大切にできない
ざらめ
降り注ぐ煌めきの矢
かけてるときは欠けてない
永遠に重ならないけど
視界がなければそこにいる
いつまでかの淋しさ
君は南、僕は北
せつや
ワルツを踊るしなやかな白
箱庭のスパイ
終わらないための緻密
寄贈されたとある恋
紅茶の海で会いましょう
インターミッション、あなたにはキスを
シンバル
愛醒めてメサイア
今日より浅い夜更け
舞い降りる瑠璃を、今
駅の向こうへきみは消え
脳が臆病、良い句を飼うの
死に眠る胸に詩
栗城
出合い・触れ合い・傷付合い
胎盤はぼくをもう一度育む
かなしみの森・永遠の夢
煌いていない死のこと
君に収束するこの世
華やぐ終焉
浅宮/瑠藤
迷宮入水
逆さの深海
「幽霊には舌でふれなくちゃ」
phantom period predawn
まぼろしのつま先が燃える
拝啓 虫喰いの世界
マオ
太陽に入れるナイフの輝き
ますます愛がはかどるころあい
初陣の虎が避けて通るぞ
緻密なだけじゃ足りないんだけど
水氷
センターヌーンの壊死を待て
乳白の天蓋を憎悪で穿つ
眼を灼くおまえをこの手で屠れば、
「だいきらいだよ」
されど慈悲はふり注がれるのだ
(くだらない愛のはなしをしよう)
掌
昼食のまえに泣かないで
なまえを忘れたふたり
ラザニアが冷めたら帰るよ
いちばん苦しい話をしよう
いまだけきみのかおを被るの
のみほしたグラスから毒の匂い
香雲
No.448
ぼくの雨は湖になれない
知りえない幸福をはかる
みつからない傘をまつ
祈ったぶんだけ朝がきました
ルネット、きみはみていた
だれも正しさを失いたくない
計算上ではあと3200回のちに
香雲
ぼくら海にも火にもなれない
皮膚がいのちを隔てるように
きみのさよならは透明な刺繍
マオ
イカロスの翼が不純物だから
あの感情を消すためのマジック
まほろばに生きた罰なのさ
いつか母へと至るために
神話に基づく楽園の
崩れる臓腑に龍の玉
誰か融点を捨ててくれ
煙に巻かれてしんじゃった
水氷
透徹のその眼差し/clearness eye
結晶したきみのなみだ、食べたから
綾を織る光千切って纏って彼方まで
つめたいだけのぼくら・揺籃の胎児
丁寧に空中分解・降りそそぐあなた
いいから早く楽になりたい君の手で
ついぞひとつになることはなかった
海岸線にて裂傷/seaside scratch
浅宮/瑠藤
痛みを抱く手管を見たい
零るる名は碑/離るる保護
栗城
どうしてリボンにうまれなかったのか
ぽたぽたしてる
ならばせめてたまごのようにあたためてほしい
嵐のてのひら、花のくちづけ
ざらめ
天国ゆき天気図
微睡みの逆さ傘のうら
ほねの窪みにあなたと二人
蜷川
茫洋たる枯槁への憧憬
苦しく綴じた左部のオーヴァチュア
野ばら、肉腫
贖いを模したかいなの形
眼頭は流星を知った
はばかりを手懐けてしまう浸透圧
磨かれぬ鏡であったと
頭上は無い
うずめた重りが潰える日
自らを恫喝する我らの讃歌
楡の花束だと笑えよ
撫ぜる飛翼は信望に泣いている
霊骸はてのひらへと沁む
永き流浪が右部の意味を届けた
いずれ海に辿り着く舟
掌
No.469
名前が呪いになれること
通り過ぎてもかおってしまう
水氷
絶対にとかないでね
望月色
No.491
クリスマスに泥棒
しあわせを運ぶだけ
どこにも消えたりしないから
暖炉は綺麗になっただろ
望月色
嘘か誠か噂を辿れば
けぶるすがたに首ったけ
ライト照らされネオンとにやり
蝋燭飾って待っていろベイビー
水氷
No.499
瞳シネマ
マント内上映はおひとり様貸切専用
水氷
幕、幕、また幕
望月色
No.421
この肉体で遊んでくれてかまわない
震える声を初めて聴いて
涙が滑る頬を撫でて
思考に靄がかかっても
指の感覚に歓びを感じた
コントローラーは脳の隅に埋まっている
望月色
良い子だ、最期はお前の糧になるさ
水氷
No.354
十日で解く千の仮面
どんなあなたでも抱き締めて泣いたわ
水氷
コップ1杯の変化
望月色