とめどなく桜
まだ見ぬ夕暮れの外
シアターの明かりが落ちる頃
思い出せない体温があって
紗帆
よしんば夢で会えなかったとしても
泣き虫の抜け殻
ララバイなんて桜の根元だよ
水氷
冷たく凍える右半身
お月さまに還るように
恋人をなくしたくつした
誓いのキスの時効が来たね
ロッキングチェアが寂しがる
優しいきみが、今夜も僕をおもって泣きませんように
伊織
うなづいて、喰んで
だいすきがほしいんだ
ぼくの嘘見ぬいちゃだめ
あなたよりおおきくなるの
えがおと4ほんめとばらの花
「結婚してください」
掌
きみを形成するひかりがこぼれていく
満ちるも欠けるもかみさましだいです
桜月
今日の区割りは馬鹿馬鹿しかった
選ばせなかった僕らのこと
手放すなら僕らが先だ
「仕様がない」に居座る
学びがほころぶ
遠足じゃないんだよ
奇なり
こどものためのトワイライト・ショー//荒野にて
教科書にだってのってるさいわい
夜22時の健全なイギリス
カーニバル・ライズのネオンのなか、ぼくはきみを探す。背の高い向日葵、ぎこちない爪先でふれるきみのひんやりとした頰、うそで固めたママの愛の巣、ぼくらは帰らない。帰れやしない。ジープ・コンパス・銃声・ジャムパン。ぼくらの秘密の帝国。いやだ。帰れやしない。勝負の駆け引きのもっと先、ひとおもいにぼくはきみの首に手をかける。「そばにいてね」は引き金だった。ぼくはきみのなかのぼくをなかったことにする。
はやまったりしたねあやまらないでね
午前3時のかわいくないアメリカ
不毛のゆめにおいていけ
よる
だって君の瞳が揺れているんだもの
いい加減、言葉になんてしなくても
好きな子のことは分かりたいでしょ
昨日の今日で変わる心はもってない
仕方ないから、僕の心臓をあげるよ
ねぇ、だから僕に笑顔をちょうだい
ほんだ
沈黙のあいだの遊泳
乱れ髪と羽毛と蜜蜂
胸に飛び散る虹の彩
焼いても煮ても好き
流れ星のようなにおいが指先をついて離れない
ざらめ
ふたり過ごした夜には戻れない
わたしは愛すべきかげと生きる
R
こころの端っこだけ連れていって
夢見ることだけしばらくゆるして
わたしの唇はただいまを待ってる
きっと二度目の体温もきみのもの
佐伯
ぼくはきみのともだち
約束の火花を散らそう
あの日から嫌いだった
どこまでもよるの国へ
岡野
奇妙な時計を持っているね
エゴイズムの花束きれい
あわい光としての終曲
紫江野
Kaleidoscope escape
Immortal invader
Lead me to bright
Leap lip lip
Yearn for...
Omen for parting tears
Undermine my heart
"I now regret having broken up with you."
たらこ
さみしさを纏う人
同じリズムの狂人
慈雨達のレッスン
側
2秒が10分、1時間
舌触りざらざら
やくそく≠やくそく
振り向け金星
生温いのは涙だけ
あいしてるっていわないで
紗帆
さよならはまぼろしと同じ手触り
なにもない部屋のふたりが重なる
蜷川
あなたは偏在する
記憶がうっとり息づく
たばこのにおいだけが集まって
瑠藤
積みかねた日々と綻び
夜になれば一際浮かぶ
ガールズトークの餌食
リセットに必要な言葉
詠美
いなくなったきみはゴースト
心得ててもこころは痛いから
出会う前まで連れ戻してからゆって
ロックを解いてデリートしたい
足のつかない密室殺人事件
ばかで無粋なひとね
一星
さみしい記憶のたたずまい
夜になれば冷えていく
長くいて付き合えないことだけわかった
乱闘は場内で 睡眠は場外で
通じないことばを送る
掌はすり抜けてしまった
いちどしか言わない重要なこと
わずらわしい指の躓き
名乗らずとも書き込まれた名前
唇が渇いて辿っていくと内臓の感覚
適当なことは言えない雰囲気
戻りづらい認識
わかってくれたらこうはならない
肝心の本音は
瑠璃色に染まる白
夜長はこの限りではない
望月色